ジェントルかっぱのブログ

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【瀕死語】「やっこさん」

小説などに出てくる言葉で、すぐに意味は通じるし、死語になってはいないものの、日常生活ではまず使わないし世代継承もされにくく、死語になってゆきそうだと推定されるものを、「瀕死語」と呼ぼう。

「やっこさん」

http://dictionary.goo.ne.jp/img/daijisen/ref/113463.jpg

 [名]《「やつこ」の音変化》
1 下僕。しもべ。
「生きて再び恋愛の―となり」〈福田英子・妾の半生涯〉
2 江戸時代、武家の中間 (ちゅうげん) 。頭を撥鬢 (ばちびん) に結い、鎌髭 (かまひげ) を生やし、槍・長柄 (ながえ) ・挟み箱などを持って行列の供先を務めた。
3 江戸初期の男伊達 (おとこだて) ・侠客 (きょうかく) 。町奴と旗本奴とがあった。
4 「奴頭」「奴豆腐」「奴踊り」「奴凧 (やっこだこ) 」などの略。
5 江戸時代の身分刑の一。重罪人の妻子や関所破りをした女などを捕らえて籍を削って牢 (ろう) に入れ、希望者に与えて婢 (ひ) としたもの。
6 男伊達の振る舞いをまねた遊女。
「近世まのあたり見及びたる―には、江戸の勝山、京には三笠、蔵人」〈色道大鏡・四〉

やっこ【奴】の意味 - goo国語辞書

旗本奴 - Wikipedia

かぶき者 - Wikipedia

「やっこさん」という表現は、たしか「ブラック・ジャック」でブラックジャックが使っていたと思う(彼はわりとべらんめえ口調なので)。現代では一部の小説や落語で出てくる位だろう。

 現代の日常語では、まだ「あいつめ」という意味で「やつめ」という。

やっこは武士ではあったが、最下層で見下された、使いっ走り的な身分であった。
「奴」は「奴隷」にも使われ、決して良い意味ではないが、「さん」づけで呼ぶ呼び方があることからも、なんとなく親しみのある、身近なニュアンスがある。
やっこ凧、奴ヒゲ、冷奴、奴ことばなど、奴にまつわる単語は多数あり、江戸時代は馴染み深いポピュラーな身分だったのだろうか。
奴豆腐の奴は、奴が着物につける紋所からきているそうだ。

旗本奴や町奴はいわゆる「かぶき者」で、無頼者の集団だった。

江戸時代の社会の底辺のある階層の人たちが、「やっこ」である。