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ジェントルかっぱのブログ

読書、映画、美術鑑賞

【映画】『トップ・ハット』 フレッド・アステア/ジンジャー・ロジャース 1935年

映画

フレッド・アステアジンジャー・ロジャースの超人的なダンスが炸裂する、ミュージカル映画の原点。『燃えよドラゴン』を観た人が、身体性に圧倒されて身も心もブルース・リーで一杯になってしまうのと同じで、この映画を見た人は身も心も、男はフレッド・アステアに、女はジンジャー・ロジャースになってしまうだろう。

この作品が公開された1935年は昭和10年であり、実に85年前である。日本は二年前に国際連盟を脱退、翌年には二・二六事件が起きる。

アメリカでミュージカル映画が発生したのはこのような時代だったのだが、それにしても初期からの完成度の高さには驚かされる。

華麗なタップダンス、スピードとキレのあるペアダンス、高速の回転は、とてもデジャヴ感があるものである。それは何かというと、フィギュアスケートである。アステアとロジャースは床の上で踊っているのだが、まるでリンクの上で一流のスケートペアがアイスダンスを踊っているようなのだ。彼らのダンススキルは、オリンピックで演技する現代の一流フィギュアスケーター達となんら変わらない。むしろ摩擦係数の高い通常の床上で、男性は燕尾服に革靴、女性はロングドレスにハイヒール、その状態であれだけのスピードを出せるのはすごいものである。

現代のフィギュアスケートの元祖が、こういうところにあるのだということを教えてくれる貴重な作品である。

白黒なので一見古めかしく感じられるかもしれないが、観ているうちに、単に物珍しい古い映画としてではなく、一流のエンタテインメントとして楽しめる。映画は単に映像の綺麗さやCG技術だけではない、むしろそういう技術に依存すると作品としての面白さ、楽しさ、ワクワク感、臨場感が低減してしまう。映画に夢と希望とパワーがあった20世紀前半の作品は、軒並みクオリティが高い。