ジェントルかっぱのブログ

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【映画】 『ジョーズ』 スピルバーグ JAWS

この映画を作成した時のスピルバーグは28歳だったそうだ。

主要人物の3人のキャラ立ちが、西遊記のように個性が分かれていて、面白い。ワイルドでアウトロー的な船長は孫悟空、真面目な警察署長は沙悟浄、少しお笑い担当の海洋学者は猪八戒のような、デコボコトリオである。

鑑賞者の想像力に訴え、フェイントと不意打ちを多用する演出は、エンタテインメントのエキスパートであるスピルバーグらしい完成度である。

戦争(『プライベート・ライアン』)や悲惨(『シンドラーのリスト』)やサスペンス(『ジョーズ』)のようなジャンルを描いても、視聴者が安心して映画世界を楽しめるように作る、本質的に毒のないクリエーターである。

子供の時は人喰サメの存在を隠蔽しようとする市長が単なる愚か者としか思えなかったが、長じて社会や世間のことを経験した後改めてこの映画を見ると、島の経済や島民の生活を考える市長が、両方に大打撃を与えるサメの存在を受け入れることができなかったのも、全くわからないものでもない。

2001年宇宙の旅』を観た時もそうだったが、模型やハリボテや絵を使用してフィクション世界を構築する1970年代映画の映像クオリティはとても高く、本作品に登場するサメもオモチャ感やハリボテ感を感じさせない。

スピルバーグ的エンタテインメントが世界中に大ブレイクした記念碑的作品として、これからも永く鑑賞されていくだろう。